ツイッタのお題診断?でネタをもらったのでマニカル短文です。 短いですよー。 マニカル短文「脱出不可」 「……うぁ?」 ふと我に返ったら、えらく近くにカルディアの顔があった。 近いなんてものじゃなくて、ほんの目と鼻の先だ。……いやそれどころでもなかった。 だって、俺の手はカルディアの首裏に掛かっていて、そして互いの唇が触れているくらいの距離しかない(いやこれは距離なんてものがない状態だ)。 「な、……な???」 俺はいったい何をやってるんだと自分をひたすら罵りながら距離をとった。といっても壁にぶつかってからここがベッドの上だと気付いたくらいに慌てていて、つまりカルディアから離れられたといってもほんの数十センチにしかなってない。 カルディアは何が起こったのかわかってないのか、ぽかんと口と目を丸く開けて俺を見ている。 えぇと。 こういう時になんて言ったら無難にすむのか検討している余裕もないから咄嗟に思いついた中で一番この場にぴったりなのを選ぶ。 「悪ぃ、寝ぼけた!!」 二人で夜中まで酒を飲んでて同時に潰れた身からすればこの口実は完璧だ。……少なくとも、そのはずだ。 と思うのに。 「……へー」 さっきまではすっかり呆気にとられたカオをしていたカルディアが、不機嫌でいっぱいの顔になった。そりゃそうだ、常識的に考えて、寝惚けようがなんだろうが飲み仲間にキスなんかされない。普通は。 いや、てゆーか俺だってしない。普通は。てか相手がこいつじゃなかったら絶対にしない。酒で理性……ってか、自制がちょっと緩んじまったんだ。最近はこいつに近づきすぎないようにひたすら気をつけてたんだから。 「……悪かった、」 だがまさかそんな事を白状できるはずがない。なので、ただひたすら謝るしかない。このまま誤解されたら――じゃないな、勘が良いこいつに気付かれたら、どうにか保ってるこの飲み友達って関係も終わりになっちまう。 「まぁ、忘れてやってもいいぜ」 その言葉にホッとする。 が、露骨に安堵したのがバレたか、それとも弱みを見つけたと思ったか、カルディアがニヤリと笑った。 目を見開いて無防備だったさっきの可愛さが台無しの邪悪な表情さえ、今の俺には目が離せない代物で困る。 そして案の定、邪悪な表情に見合った申し出が飛び出した。 「その代わり、なんでもするよな?」 「……お、おう」 さすがに、たかがキスひとつで死ねとまでは言わないだろう。なら一発二発殴られるくらいは仕方ない。……と思う事にして俺は頷いた。と、カルディアがやっぱりえらく凄みのある顔で笑うから決心が揺れる。 「約束だぜ」 「……死ねとかじゃねェだろうな」 思わず聞いてしまって、だがカルディアの奴、バカにした目で俺を見返しやがった。 「バーカ、たかがこのくらいで殺すって、どこのウブな女だよ」 今時、女聖闘士だってそんなことしねェよと鼻で笑いやがる。 そう言うお前は女聖闘士より数段凶暴じゃねぇか、と思ったがここは我慢だ俺。 歯軋りしながら屈辱に耐えてると(こいつの事だ、どうせ碌な事させられないに決まってる)、カルディアが鷹揚に告げる。 「一言、言うだけでいい」 教皇の間で裸踊りとか女神の脱走の手伝いとか、なんか妙な無理難題を吹っかけられると覚悟してたから、拍子抜けすぎて逆に危機感がMAXになる。 「……なんて?」 ちょっとどころじゃなくイヤな予感に思わず訊いてしまえば、ずいっと顔を寄せてきて、至近距離からじっと俺を見つめたカルディアが、小さく微笑んで、そして甘い声で。 「愛してるって、言って?」 ……結局、逃げ道なんかどこにもなかったのだ。 マニゴルドへの3つの恋のお題:愛してるって、言って。/寝ぼけてキスをした/交わした約束 http://shindanmaker.com/125562 約束、を入れるのが難しかったです……(´・ω・`) (おまけ) 「俺の名前呼びながら俺にキスしといて『寝ぼけた』とか、俺のことバカにしてんのか、クソ蟹」 「悪かったって」 「じゃあ詫びの代わりに、今度サーシャとちょっと出掛けようぜ」 「……やっぱそうなるのかよ」 ( 個人的には裸踊りに一票!(゚∀゚)ノ ) |